夢を託す東京 工務店
管理できるプロジェクト数には自ずと限界があり、それを上回って仕事を受けると、品質の低下、ひいては信用や評価の失墜につながるリスクがあります。
このところ、日本経済の回復基調を受けて、コンサルティング・ファームへの依頼は増加傾向にあります。
しかし、一方で経験を積んだ「パートナー」の数には限界があり、また、育成には一定の年月がかかります。
こうしたことから、最近のコンサルティング・ファームのサービスの質について、疑問視する声が上がり始めています。
筆者も明らかにオーバーワーク(仕事の受け過ぎ)と思われる有力コンサルティング・ファームの「パートナー」を何人か知っています。
クライアント(顧客)側には、コンサルティング・ファームに対して、きちんとしたサービス品質の維持を求める権利があります。
また、コンサルティング・ファーム側には、利益を追求するあまり、キャパシティ力)を超えた受注を控える冷静な判断が求められているのです。
「外資系コンサルティング・ファーム」には、第3章で明らかにした限界や、第4章で見てきたような問題点があるにもかかわらず、なぜ日本を代表する大企業や政府系機関は彼らに助言を求めるのでしょうか?最終章である第5章では、まず、この答えを探っていくことで私たちの社会や組織の病巣について、考えてみたいと思います。
そして、コンサルティング・ファームの効用と限界、私たちの社会や組織が抱える問題点を踏まえた上で、私たち一人一人が、そして社会全体が「コンサル至上主義」とどのように向き合うべきかについて考えたいと思います。
さて、まずは、日本を代表する大企業や政府系機関が、「外資系コンサルティング・ファーム」に助言を求める標準的なケースについて考えてみましょう。
その企業や組織は、何か課題を抱えています。
それは、次代の経営戦略の立案であったり、欧米有力企業の日本進出への対抗策であったり、組織の活性化であったりします。
そうした課題を解決するために、経営者は外部の智恵を借りることを決断し、コンサルティング・ファームを雇い入れるわけです。
ここに2つの典型的なパターンをお示しします。
日本の企業や団体が「外資系コンサルティング・ファーム」に助言を求めた場合、この2つのパターンのいずれかに当てはまることが多いのです。
第一の「パターン」は、「丸投げパターン」です。
クライアント(顧客)側の発注者は、通常、社長など経営陣ですが、「何かしなければ」、「このままじゃいけない」という程度の問題意識で、外部コンサルティング・ファームに助言を求めるケースがあります。
また、経営危機に陥った企業や、強力なライバル企業の出現や規制など外部環境の大幅な変化により組織運営の根幹が揺さぶられた企業や組織が、「課題」について自分たちで十分に検討することなしに、コンサルティング・ファームに助けを求めるケースもあります。
課題の解決策を探る第一歩は、「何が課題か」を正確に定義することです。
これは当たり前のことのようですが、現実には、それが暖昧なままコンサルティング・ファームに助言を仰ぐケースが多いのです。
このような「丸投げパターン」の場合、コンサルティングの結末は、悲惨なものとなります。
こうしたケースでは、プロジェクトは、クライアント(顧客)側のメンバーとの共同作業というよりも、「コンサルティング・ファーム」主導で進みます。
クライアント(顧客)側が何を求めているのかがはっきりしないわけですから、雇われた立場の「コンサルティング・ファーム」としては、自力でアウトプット(成果物)を出す必要に迫られるわけです。
こうして、クライアント(顧客)と「コンサルティング・ファーム」による会話に乏しいまま、最終報告会を迎えます。
プレゼンテーションが終わった後、クライアント(顧客)の経営者は、「求めているものとは違うなあ」とつぶやくのです。
でき上がった膨大な報告書は、数千万円から億円単位の価値に見合わない、単なるそして、ペーパー(「論文」という意味ではなく「紙」という意味)となり、書棚の奥にしまわれて、2度と日の目を見ることがない。
そういうケースが現実に数多く存在します。
もう一つ、日本企業が「コンサルティング・ファーム」を雇う典型的なパターンがあります。
それが「お墨付きパターン」です。
これは、社長など経営トップが、成し遂げたいアイデアを持っており、社内でもある程度議論・検討してきているが、社内の一部からの抵抗に遭い、それを社内でオーソライズ(承認・認知)させるために有名コンサルティング・ファームのお墨付きを得たい、と考えて助言を依頼するケースです。
すなわち、みずからは主流派であるけれども、社内に存在する(であろう)反対派を宥め、納得させるためにコンサルティングを依頼するわけです。
この場合、プロジェクトは一見、円滑に進行します。
社長の意を受けたクライアント(顧客)側のメンバーも、「コンサルティング・ファーム」から派遣されたメンバーと一緒に議論に加わります。
しかし、問題はこれからです。
社外からの「お墨付き」が欲しい経営者としては、助言を求める先を、社内の反対勢力を黙らせるだけのビッグネーム。
「マッキンゼー」や「ボストン・コンサルティング」といった「外資系コンサルティング・ファーム」。
にするケースとします。
ところが、第2章で見たように、これらの有力コンサルティング・ファームは、「クライアント(顧客)と対立することを厭わない」ことをみずからのレゾンデートル(存在意義)にしている人々です。
ファクト(事実)に基づく課題の分析を踏まえて、「解の仮説」が首尾よくクライアント(顧客)の経営者が期待していた通りであれば、問題はないのですが、H想定外の解が導き出された場合にはたいへんです。
極端な場合には、期待とは違う報告書が出されるのを恐れて。
それが反対派の主張どおりだった場合にはなおさら。
プロジェクトを途中で打ち切るケースすらあるのです。
こうしたドタバタの結果、企業改革や企業価値の向上どころか、コンサルティングを依頼する前よりも、社内の雰囲気が悪化し、その結果として企業業績にも悪影響が及ぶことがあります。
また、この「お墨付きパターン」には、本質的な問題があります。
それは、「経営者が社内の意見集約を図るのに、社外の力を使おうとする」という点です。
社長と言えば絶対的権力者であり、社内におもねる必要などないように思われますが、実際には歴史のある大企業などで「外圧」としてのコンサル利用という例はよく見られます。
「解」は、すでに組織の中にあり、どうすれば良いかはわかっている。
しかし、それを実行(エクセキューシヨン)するには社内的抵抗があり、強行すれば社内融和が崩れる。
過去のやり方で成功体験を積んだ社員も多いし、無理をすれば現経営陣に対する批判ともなりかねなし。
そこで「外圧」を利用して、「彼らがそう言っているから」「外部から見るとそう見えるから」という理由で、組織を動かそうとする。
これが、コンサルティング・ファームを雇う理由です。
合目的的に考えれば、手法がどうであれ、組織が正しい方向に動くことは好ましいことです。
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